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窓リフォームにありがちな13種類の失敗事例

その窓、本当に必要ですか?

テレビや雑誌のリフォーム特集に登場する家には、ほぼ例外なく大きな窓があります。 たしかに日当たりがよく、風通しがよい家は、住み心地が”良さそう”です。 ・・・本当にそうでしょうか? 現代の家づくりは、高気密・高断熱が基本です。 エアコン、浴室乾燥機などの空調家電の進化、LED電球などの登場によって「閉じた空間」の快適性は急激に向上しています。 一方で窓は家の”隙間”として、気密性を下げ、断熱性を下げます。場合によっては耐震性にも影響があります。 つまり、窓は家の性能を下げてしまう側面もあるのです。 実際、窓リフォームにおける失敗・後悔の多くは、『窓のデメリット』についての認識不足から起こっています。 窓は多ければいいものでも、大きければいいものでもありません。 そこで、窓リフォームでは、どんなところに注意すれば良いのか、典型的な失敗実例と一緒に紹介したいと思います。

思ったほど涼しくならない

我が家のリビングは2階にあるのですが、窓から風が抜けないため、夏場は室内がものすごく暑くなっていました。そこで掃き出し窓と反対側にある壁に小さい窓をつけて風が抜けるようにしてもらいました。業者さんの話では「絶対涼しくなる」と言われたのですが、工事終了後室温が下がることはありませんでした。つべこべ言わずエアコンを省エネのものに買い換えればよかったです。(30代男性) 室内を通り抜ける風は気持ちが良いものですが、実際どの程度涼しくなるかというと、窓以外の構造も関係しますし、何より天候次第です。 さらに窓は気密性を下げるので、窓が増えるほどエアコンの効きは悪くなります。 絶対に涼しくしたい場合、むしろ気密性を上げて、エアコンに頼るほうが確実だったりします。 また、部屋の両側に窓を設ける以外にも、既存窓を出窓にして形状を工夫することで、片側のみでもある程度風を通すことは可能です。 特に注意したいのは、施主側と業者側でのイメージのズレです。「涼しくなる」と言っても、「室温が下がる」ことなのか、「通気性が良くなる」ことなのかで、全く反対の工事内容になったりします。

必要のない窓の手すり

二階の部屋の窓の外側に植木が置ける手すりを取り付けるように勧められ、取り付けたのですが結局そこに鉢植えを置くと下にもし落下したときの惨事が怖くて置くこともできず、常に雨にさらされてコケは生えるし、泥はたまり、挙句数年たって劣化が始まり、手すり自体に落下の恐れがあるといわれ撤去。なんのために取り付けたのかお金を捨てたようなリフォームをしてしまい反省です。(30代女性) 窓の外側の手すりは、常に外気にさらされるので、劣化の激しい部分です。 ただし、手すりの劣化のスピードは、土地の気候によっても大きな差があります。 ステンレス製の手すりは錆びにくいですが、やや高価です。 後々メンテナンスが必要になってくる部分なので、風土条件や安全面からの必要性などを考慮して、取り付けましょう。

断熱性の低い窓

築約50年になる2階建実家のリフォームをしました。 外壁の塗り替え、床板の傷んでいる部分の張り替え、畳からフローリングへの変更、水回り全て、耐震補強等、ほぼ全ての部分をリフォームしましたが、予算の関係で2階の窓、サッシはそのままにしました。 ところが1枚ガラスから伝わってくる外気の冷たさ、古いサッシゆえの隙間風は、想像以上の寒さです。畳からフローリングへ変えたこともあり、部屋自体の寒さはリフォーム前と変わらないです。窓も全て新しくするべきでした。2枚ガラスをいれた1階は断熱性が高く、2階との差は歴然です。(30代男性) 窓は家全体の断熱性を高める上で、最もウィークポイントになりやすい場所です。 最近の樹脂サッシや積層ガラスや複層ガラスは、大きく断熱性を向上させているので、家全体をリフォームする場合は、ぜひ取り入れたい設備ですね。

結露する出窓

出窓を提案され家族皆でそんな洒落たもの縁がなかったので喜んで追加。しかし地域性なのか、換気設備などの問題なのか、すぐに結露して、とてもじゃないけど物が置けない!挙句窓に沿って設置したレースのカーテンもすぐにカビカビ…ぜんぜんお洒落に使えていない!(20代女性) 出窓は部屋を広く見せる効果もあり、窓際のコーディネートの幅も広がるので、インテリア性の高い設備です。 ところが意外と見過ごされがちなのが、結露の問題です。 通常の平面窓と違って、出窓には物を置いたり飾ることも多いため、より結露の問題は深刻になります。 出窓を作る場合には結露対策もしっかり行って、季節を問わず美しい窓際にしておきましょう。

窓が多いと紫外線が気になる

窓が多くて明るいのはいいのですが、紫外線が気になります。日中にカーテンを閉め切るのもおかしいので、どうしようもありません。家の中いるのに、1年中日やけ止めを塗っています。お肌のことを考えると、窓は少ないほうが良かったです。(30代女性) 窓は光や熱だけでなく、紫外線の入り口でもあります。 特に紫外線の中でも波長の長いUVA波は、窓ガラスを通りやすいようです。 UVA波は肌の奥の真皮層に届き、コラーゲンを破壊すると言われているので、美容意識の高い女性(男性も?)からは「窓はないほうがいい」という意見も多いのです。 UVカットガラスや、UVカットフィルムも完璧ではありません。 たしかに美容の面からは、窓は少ないほうが良い可能性がありますね。

高熱費を下げるつもりが逆に上がった

一階部分に日差しが入らず暗い為に一日中照明を点けている状態で電気代もかさんでいたのです。 そこでキッチンの一部を改装して大きな窓を設置し、 自然の光を部屋に取り込む為の改装工事をする事になりました。 光が差し込む西側の壁を取り壊して窓を取り付けたのですが、逆に光が眩しいくらいに差し込むようになり、日中はカーテンで日差しを抑える事になってしまいました。 夏場も高温になってしまい冷房費が数倍に跳ね上がり、 電気代節約のつもりが逆効果だと気が付きました。 少しの光で良かったので、小さな窓を設ける工事にしておけば良かったと思いました。(40代男性) 日光は多ければいいものでもありません。 眩しすぎることもありますし、温度も上がるので夏場は高熱費も上がります。 冬場は冬場で、窓から熱が逃げるので、やはり高熱費が上がります。 高熱費を下げる目的で窓をつけるのは、エアコンを使う場合では、ほとんど逆効果になってしまいます。

天窓のデメリット1:夏がとんでもなく暑くなる

日当たりの悪い台所に、明かりとりのため天窓を作りました。 確かに明るくはなったのですが、夏がとんでもなく暑くなるようになり、冷蔵庫がおかしくなるほどでした。結局、クロスを貼って、塞いでしまいました。(30代男性) 窓リフォームの失敗で、特に多いのが「天窓」に関するものです。 雑誌などの写真で見る分には、天窓は開放感があり、明るく素敵なイメージですが、デメリットも多いのです。 まず夏場はダイレクトに日光が差し込むので、側面の窓と比べても、激しく温度が上がります。 角度があるので、カーテンで対処もできません。 夏場以外にリフォームを行う場合は忘れがちなので、必ず「暑さ対策」について相談しながら進めましょう。

天窓のデメリット2:とにかく掃除が大変

台所スペースのほぼ全てをリフォームしました。それまで台所が暗く、窓がある方向に隣家がある関係で日がほとんど入らなかったため、天井部分も改装し、天窓を取り付けた。日が入るようになって明るくはなったけど、とにかく掃除が大変。しかも、風の強い地域のため、悪天候の時は天窓がガタガタ音をたて、台所にいるのが怖い。(40代女性) 窓掃除の大変さは、窓の高さと比例します。 最も高い場所にある天窓の場合、掃除難易度も最高レベルです。 天窓に限りませんが、窓リフォームを行う場合は、必ず掃除の手間を天秤にかける必要があります。

天窓のデメリット3:まさかの日光が入らない天窓

リビングとダイニングの壁を取り払って広い空間にし、天窓を付けて明るくなるようにしました。 10年ほど前にリフォームをした知り合いの工務店へ依頼しました。前回のリフォームでは満足のいくものだったので安心していました。結果は天窓以外は良かったのですが、天窓失敗しました。 窓の位置が悪いのか季節的な太陽の位置の影響があるのか、天窓が付いただけで室内に全く日が差さないのです。天窓については口頭で明るくなるようにとお願いしたのですが、担当者との思い描くものが違ったのか…付けるだけ無駄でした。もっと写真とか探して雰囲気を共有できるものを提示したら良かったのかもしれません。(30代女性) ほとんどの場合、日光を取り入れるために天窓を作ります。 それなのに、せっかく天窓を作っても日光が入らなければ、天窓を作った意味がないですよね。 天窓をつければ簡単に部屋が明るくなるイメージがありますが、じつは日照時間や角度など、綿密なシミュレーションが必要です。 部屋を明るくしたい時間帯によっても、窓の位置や大きさは異なってくるので、「いつ明るくしたいのか」もしっかり伝えるようにしましょう。 天窓はメンテナンスも大変な場所なので、特に念入りな打ち合わせや「明るくならなかった場合」の対応についても確認しておきたいところです。

見た目は良くても掃除が大変な大きな窓

両親との同居を期にリフォームしました。 お金は両親が全て出してくれたので、両親の希望に沿った仕様になりました。 ところが特に窓が大きすぎて掃除か大変です。日々の生活に少々ストレス感じてしまうのです。いずれ私達の家になると思いますので、またリフォームしたいと考えています。(40代女性) 窓自体、掃除が面倒な部分ですが、特に高さのある窓は掃除が大変です。 ソファにのったり、脚立にのったり・・・それが何カ所もあれば、窓掃除だけでクタクタになってしまいます。 リフォーム内容はお金を出す人が決めることが多いですが、掃除をするのは別の人だったりすると、掃除の手間があまり考慮されないことがあります。 もしあなたがリフォーム主権者(内容を決める人)であれば、掃除をする人の意見を必ず反映させましょう。 逆に、リフォーム内容を決める権限がない場合、リフォーム会社の担当者に、メンテナンス性について、打ち合わせの際に提案してもらえるように伝えておくのもひとつの手ですね。

窓が多すぎて収納に使える壁面がない

2階の部屋をつなげて子供部屋にしました。建築士さんに入ってもらい、ロフトつきの素晴らしいお部屋になりました。ムク材、白い壁、作り付け家具など、こだわりのお部屋です。 ですが、デザイン重視だったのか、収納が異様に少ない!家具も作り付けなので移動できず、隙間に既成の棚などを置くしかない。そして入口の面以外は全て窓があるので、壁として使える面がない! …普通のお部屋が一番だと実感しました。(40代女性) 窓を増やすこと=壁面を減らすことです。 気密性や断熱性、結露などの問題は、窓の性能アップである程度改善しますが、壁面が減ることは収納性の点で、確実にマイナスになります。 ほとんどの収納家具は壁面にぴったりくっつけたほうが収まりが良いですからね。 特に本棚のような、奥行きが少なく、高さがある収納家具を設置する場合は、壁面でなければ厳しいものがあります。 新しく窓を作る場合、必要な収納家具が置けるかどうかも十分に検討しておきましょう。

二重窓は掃除の手間も二重

家の立地が大通り沿いということもあり、寝室の騒音遮断と断熱の効果を期待し、二重サッシを取り付けることにしました。 全部で4つの窓があり、全てに取り付けましたが効果は素晴らしいもので、騒音も静かになり、冬も暖かくなりました。 ですが一番の問題は窓掃除。 単純に2倍の数となり、掃除もしづらくなり、年末の大掃除が大変になりました。 後から窓に貼るタイプの物等が色々な種類があることを知り、施工の際には、デメリットもしっかり聞き出し、検討することが大事だと思いました。(30代男性) 窓自体を二重にする二重窓は、2枚の窓の間に大きな空気層ができるので、最も大きな防音・断熱効果が期待できるタイプの窓です。 デメリットとしては、窓の開け閉めや掃除の手間も二重になることですね。 メンテナンス性を重視する場合、二重窓以外にも、複層ガラスにより、かなり断熱性・防音性を上げることができます。 複層ガラス+断熱サッシの組み合わせであれば、通常のガラス窓と比べて3倍程度、断熱性が上がると言われています。 最初から工法やリフォーム内容を決めてしまうと、後から後悔することがありますので、目的(断熱など)を実現するために「他の選択肢はないのか」確認するようにしましょう。

まとめ:10年前の常識は、今では非常識

住宅設備の進化によって、住宅に求められる構造や間取りの考え方も変化しています。 その中でも、最も大きな変化が起こっているのが『窓』に対する考え方です。 例えば、LED電球の普及によって、窓の機能のひとつである『採光』を「必要ない」と考える人も増えています。 以前であれば、白熱電球だけに頼るのはエネルギー効率の面から非経済でしたが、LED電球なら消費電力は約10分の1です。1日中つけっぱなしでも問題ありません。 「朝日が入らない部屋だと目覚めがよくない」という場合も、今は朝日をシミュレーションする製品がたくさんあります。 以前は一戸建てであれば浴室や洗面所に窓をつけるのが常識でしたが、現在は浴室乾燥機で十分ともいえます。 窓の特性上、熱や音の逃げ場になりやすく、気密性・断熱性が下がるので、今ではできるだけ窓を作らないという考え方もあるのです。 採光と換気のために窓をつけなければいけないという、従来の常識は今や非常識です。 窓の必要性は下がっているのです。 その一方で窓自体も、機能性の高い複層ガラスなど、性能はかなり上がっています。 その結果、窓の目的自体が大きく変化してきました。 視覚的な開放感、四季の変化など、純粋に心理的な満足度を上げることが、窓をつける目的になりつつあります。 高気密・高断熱を徹底し、空調や採光を設備でコントロールするのも正しい選択肢ですし、自然の風や日の光をたっぷり取り込むのも正しい選択肢です。 そのリフォームによって、どんな生活の変化を望むのか? 常識に囚われず、考えてみてくださいね。