給湯機の種類と選び方|性能・機能の比較ポイント15選
いざ給湯機を選ぶとなると、ほとんどの人は「正直よく分からない」と感じるのではないでしょうか。
普段目にすることのない用語も多く、同じメーカーでも型番がたくさんあって迷ってしまいます。
そこでエコキュート・エコジョーズなどの特徴やオート/フルオートの違い、注目したい機能など、など給湯機を比較する際のポイントをまとめました。
給湯方式(ガス給湯器と電気給湯機)
給湯機を選ぶ時、最初の選択肢が「ガス給湯器にするか、それとも電気給湯機にするか」ということ。ガスと電気それぞれにメリット・デメリットがあり、メーカーも価格帯も異なるからです。
なお、エコジョーズはガス給湯器の一種で、エコキュートは電気給湯機の一種です。
ガス給湯器はお湯が必要になったらその場で沸かして給湯します。リアルタイムにお湯を作るので瞬間式と言われます。
一方、電気給湯機はあらかじめお湯を作ってタンクに貯めておき、お湯が必要になったらタンクからお湯を出します。お湯を貯めておくので貯湯式と言われます。
ガス/電気の違いによって光熱費の内訳が変わるだけでなく、給湯機の給湯性能や賢い使い方のコツも変わってきます。
省エネ性能では電気給湯機に優位性がありますが、電気給湯機にはタンクのお湯を使い切ってしまう(いわゆる「湯切れ」)のリスクがあります。
湯切れ=タンクのお湯を使い切ると、しばらくお湯が使えなくなってしまいます。最新の機種の多くは「湯切れ防止」機能を搭載していて、急いでお湯を作ることもできますが、深夜電力が使えないために本来の省エネ性能が発揮できなくなってしまうのです。
「ガスは瞬発力」「電気は持続力」に優れていると表現されますが、それぞれ得意分野があります。
お湯の使用量や使用時間が一定なら電気給湯機を使うのが効率的ですが、お湯の使用量や使用時間がイレギュラーな場合、ガス給湯器のほうが向いているケースもあります。
エコジョーズの特徴
ガス給湯器を選ぶのであればまず「エコジョーズ」かどうかをチェックしましょう。
エコジョーズとは、従来のガス給湯器よりも効率的にお湯を沸かすことのできるタイプです。特定の機種名を指すわけではなく、各ガス器具メーカーからエコジョーズ製品が発売されています。
通常のガス給湯器では排気で熱が無駄になってしまいますが、エコジョーズは排気の熱もお湯を作るために利用することで、通常のガス給湯器よりも約20%効率的にお湯を作ることができます。
従来のガス給湯器よりも光熱費を節約することができ、サイズも小型なので、今使っているガス給湯器から変更する場合もスムーズです。
エコキュートの特徴
エコ・節約を考えたとき、真っ先に選択肢にあがるのがエコキュートではないでしょうか。
仕組みとしてはエコキュートは電気給湯器を大幅に効率化したものです。
お湯を作る加熱方式としてヒートポンプ方式を採用することで、通常の電気給湯器よりも大幅にエネルギー効率を改善しています。ヒートポンプというのは冷蔵庫・洗濯乾燥機・エアコンでも活用されているエネルギー技術です。
エコキュートのメリットは、とにかくエコなこと。従来のガス給湯器と比べると約50~70%も光熱費を節約できます。また、ガスを使わないのでオール電化住宅にもフィットします。
デメリットは給湯機自体の価格が高いことと、本体サイズが大きいこと。エアコン室外機のようなヒートポンプユニットと貯水タンクが必要で、騒音防止のためにもある程度のスペースが必要になります。
エコキュートの導入を検討する場合、まず設置できるかどうかを確認する必要があるので、早めに設置業者に設置場所を下見してもらいましょう。
ハイブリッド給湯機の特徴
電気とガスを組み合わせたハイブリッド型の給湯機も発売されています。
「電気とガスのいいとこどり」と言われるように、エコキュートの節約性を活かしながら、ガスを使った方が効率的な場面ではエコジョーズ(ガス)を使うことで、エネルギーをもっとも有効活用することができると言われています。
エコで利便性も高いのがウリですが、価格が高くなりがちなこと、エコキュートと同様にある程度の設置スペースが必要なことがネックですね。
シングル vs ダブル
ハイブリッド給湯機の機種によっては「シングルハイブリッド」「ダブルハイブリッド」があります。
シングルハイブリッドとは、お風呂やキッチン等についてはハイブリッドシステムを使い、温水暖房・床暖房については従来のエコジョーズを使うシステムです。
ダブルハイブリッドの場合、通常の給湯だけでなく、暖房系についてもハイブリッド給湯なので、より光熱費節約効果が高いと言えます。
基本的には温水暖房・床暖房を使うならダブル、そうでない場合はシングルを選べば問題ないでしょう。
給湯タイプ(床暖房・追い炊き・給湯専用)
ガス・電気ともに、ほとんどのメーカーの給湯機には3つのタイプがあります。
もっとも一般的にはお湯を出すだけでなくお風呂の追い炊きもできるタイプです。
温水式の床暖房に給湯する場合、床暖房対応のタイプを選ぶことになります。
単身者用マンションなどでは追い炊き機能を省いたシンプルな給湯専用タイプも多く使用されています。
給湯容量(号数/リットル)
給湯機を選ぶ時は、家庭のお湯事情に合わせた容量を選ぶことが大切です。
ガス給湯器の給湯容量は「○○号」と表現され、1分間に沸かせるお湯の量を示しています。たとえば20号なら1分間に20リットルのお湯を沸かせるということです。
お風呂、キッチン、洗面などで同時にお湯を使い、20リットル/分を超えてしまうと、洗面からはお湯ではなく水が出てきたりします。
電気給湯機の給湯容量は「○○リットル」と表現され、お湯を貯めるタンクの容量を示しています。370リットルなら、タンクには370リットルのお湯が貯められます。
オート vs フルオート
どのメーカーの給湯機にも「オート」「フルオート」という名称がついていますが、オートとフルオートではどこが違うのでしょうか?
まず「オート」というのは、お風呂のお湯張りがオート=自動ということです。温度と湯量を指定することでワンタッチでお湯張りを行うことができます。
「フルオート」というのは、「オート」に+αの機能をつけたもので、一般的には自動保温と自動洗浄の機能が追加されています。お湯を張った後にもお湯を設定温度に保ってくれたり、排水時に自動的にパイプ洗浄を行ってくれます。さらにお湯が減ったときに自動的にたし湯を行なって湯量を一定にキープしてくれる機種もあります。
追い炊き性能
追い炊きは、お風呂のお湯を循環させながら、その場で過熱していくことでお湯の温度を上げる仕組みです。
そのため追い炊きについては一般にガス給湯器のほうが速く効率が良いとされています。
特に電気給湯機の追い炊き対応タイプの場合、グレードによって追い炊き性能(機能)に差があることが多いです。
電気給湯機のハイグレード機種では、フルパワー出力で一気に温度を上げる機能がついているものもあります。(ただし電気代は多くかかります。)
追い炊き性能を重視する場合、ガス給湯器を選んだり、電気給湯機のグレードの高い機種を選んだほうがよいでしょう。
保温機能
追い炊きとは正反対なのが保温です。お湯の温度を一定に保つためには少しずつ加熱する必要があります。そのためガス給湯器よりも電気給湯機のほうが保温は得意なのです。
電気給湯機では少しずつ電気を使うことで、お湯張り後の一定時間、常に設定温度を保つことができる機種もあります。
一方、ガス給湯器の場合、保温機能がある機種でも「30分ごとに少し加熱」など、常時加熱ではなく間欠加熱するタイプも多いです。
追い炊き重視なのか、保温重視なのかでも、給湯機の選択は変わってくる可能性がありますね。
予約機能
多忙な生活の中で役立つのがお湯張りの予約機能です。
お風呂にお湯が貯まるのを待っているのはもどかしいものです。待つのが嫌でシャワーを使ってしまう人も多いのではないでしょうか。
テレビ番組の終了時刻などに予約時間をセットしておけば、規則正しく入浴ができ、時短にもなります。もちろん、お湯を貯めてすぐ入浴することは光熱費の節約にも効果大です。
自動洗浄機能
各メーカー、スタンダード機種とハイグレード機種で差がつくことが多いのが自動洗浄性能の良さです。
「フルオート」の製品であれば、基本的に自動洗浄機能はついているのですが、ハイグレード機種には高温洗浄やバブル洗浄など、より洗浄力の高い洗浄方式が採用されています。
高圧給湯
複数の蛇口からお湯を出すとお湯の勢いが弱くなってしまうことがあります。
またエネループなどの電気給湯機(貯湯式)の場合、タンク内の熱湯を減圧してから給湯するため、そもそもの給湯時の水圧が弱くなってしまう傾向があります。
そのため、特に電気給湯機のハイグレード機種には水圧をアップさせる機能がついていることが多いです。
給湯水圧は○○という単位で示されていて、一般的な電気給湯機は170程度、高圧給湯機能がついている機種では270以上と2倍近い水圧が得られるようになっています。
水圧の強さはキッチンでもお風呂でもかなり使い勝手に影響するので、重視したいポイントですね。
リモコンの操作性
一昔前の給湯機は「お湯を出すだけ」「追い炊きするだけ」でしたが、近年の給湯機は高機能・多機能化していることもあり、リモコンの使い勝手の良さはお湯の使い勝手に直結します。
デザイン的にもメーカーの個性が出やすい部分なので、価格・性能が同等ならリモコンで給湯機を選ぶのもアリです。
特に高齢者の家族がいる家庭では、ショールームなどで実際に家族にリモコンを触ってもらい、スムーズに操作できそうな給湯機を選ぶことが大切です。
非常時対応
特に東日本大震災以後、エコキュートのメリット(電気給湯機のメリット)として挙げる人が多いのが、タンクの水が非常用水として使えるということ。
その一方で、ガス給湯器の場合は停電時もお湯が使えることがあります。
非常時/停電時キットなど、別途オプションが必要なこともあるので確認しておきましょう。また、給湯機導入時に、災害時の復旧方法などを確認しておくことで、家族の防災意識を高めることにもつながります。
まとめ
給湯機そのものは品質の安定した製品で、メーカーも大手メーカーばかりです。
給湯機の方式による違い・特徴を理解したうえで、生活に合わせた給湯能力のある機種を選べば、少なくとも不便を感じることはないでしょう。
ただし、昔の「お湯を出すだけ」の給湯機とは違い、今の給湯機は大きく進化しています。給湯機の性能・機能は、キッチンの利便性やお風呂タイムのクオリティに直結するので、欲しい機能を見極めたうえで、納得のいく給湯機選びを行ないましょう。